今回は主に小学生が行う「8人制サッカーのフォーメーション(陣形)」についてご紹介します。
フォーメーションについては以前、 サッカーのポジション・フォーメーション・役割について でも触れましたが、フォーメーションは時代と共に流行り廃りがあり、それぞれにメリット・デメリット(強み・弱み)があります。
ここでは、11人制サッカーに比べて語られることの少ない、8人制サッカーのフォーメーションについてお話しします。今回は「(1-)4-1-2」についてです。
理論的(と言っても難しくはありません)なことと、実体験に基づいた話をするので、サッカー選手をお子さんに持つ保護者の方や、11人制サッカーでのプレー歴が長い新米指導者の参考になれば幸いです。
8人制サッカーのフォーメーション:1-4-1-2 について
下記の図が「1-4-1-2」の配置となります。
DF4人・MF1人・FW2人の陣形です。
1-4-1-2は大崩れを防ぎつつ個を活かせる
上の図を見てもらってわかる通り、後ろ(DF)に4人いるため、基本はサイド・真ん中ともにスペースがなく、崩されづらい陣形です。
「まず守備をしっかり作ってそこから組み立てていく」
という方針のチームに合っているのではないでしょうか。
そして前線(FW)に2人いるため、個の能力を活かしてドリブルで仕掛けることも、それをおとりにしてパスで崩すこともできます。一人がポストプレー、もう一人がスペースへ走りこむといったカウンターやDF・GKからのロングボールで一気に展開を変えるという戦術も取りやすいです。
「1-4-1-2」のメリット・強み
では次にこの陣形のメリット・強みを見ていきましょう。
メリット1:1-4-1-2の「1」にパサーを置くと活かしやすい
続いて下記の図をご覧ください。
真ん中(MF)の「1」を中心に三角形がいたる所に作れるため、パスコースを確保しやすいのが特徴です。そのため、パスが得意な選手がいた場合、多彩な攻撃を仕掛けることができます。
メリット2:1-4-1-2の「4」を活かしたサイド攻撃がしやすい
他にもこんなメリットがあります。
片方のサイドバックが上がった時に残りの3人がスライドすればカウンターに備えることができます。
そして上がったサイドバックからのクロスに対して「ニア・真ん中・ファー」と3か所ターゲットがあるため、得点に繋がりやすくなります。二次攻撃(こぼれ球を拾って再度攻めること)も可能です。
「1-4-1-2」のデメリット・弱み
一方で1-4-1-2には次の様なデメリット(弱み)もあります。
デメリット1:1-2-4-1は前後にスペースができやすい
コンパクトに陣形を保たないと、「前線=攻撃」と「後ろ=守備」の選手間でスペースが広がってしまいます。こうなるとパスコースが減る、もしくはなくなり攻撃は停滞してしまい、ボールを奪われる危険が増します。
バックパスをしようにも距離があるため相手にパスカットを狙われやすく、うっかりインターセプトされてしまうとそのままカウンターを食らうことになりかねません。
デメリット2:1-2-4-1ではサイドバックの戦術理解度が重要
チャンスだからといって両サイドバックが上がりきったままだと、更にセンターバックが孤立し、ディフェンスラインが薄くなります。こうなると、相手にボールを奪われた場合、中・外と自由に攻撃されてしまうため、失点の要因となってしまいます。
両サイドバックの選手には「片方が上がっている時はもう片方は下がり目のポジションを取る」「上がったらすぐ戻る」など、バランスを意識させることが必要です。
理論ではなく実際に1-4-1-2でチームを率いた時の体験談
クラブコースにはパスセンスに優れた選手がいたため、この陣形を採用して「1」のセンスを活かし攻撃のバリエーションを増やしました。彼はフィジカル的にそれほど強くなかったので真ん中が手薄になりがちでしたが、そこを後ろの4人で守ることで逆にカウンターも仕掛けやすくなりました。
8人制サッカーのフォーメーション:1-4-1-2 まとめ
「1-4-1-2」は「1-3-3-1」や「1-2-3-2」などと較べるとバランスが取りづらい陣形かもしれません。そのため、「平均的に能力が高い」選手が多いチームではそれほどメリットを活かせないかもしれません。
ポゼッションをしたいチームにも合いづらいかもしれないですね。
ただ、「パスセンス」「足の速さ」といった選手それぞれの個の特徴があるチームではその強み活かしつつ、カウンターも狙いやすい陣形ではないかと思います。
次の記事:育成年代のサッカーで何を優先すべきかは指導者次第
前の記事: 8人制サッカーのフォーメーション:1-2-3-2
関連記事: 【指導者】一覧
コメント