小学生でも簡単に速くなる走り方の改善ポイントとは

今回は主にサッカーでの育成年代を対象とした、小学生でも簡単に足が速くなる走り方の改善ポイントについてご紹介します。

育成年代(小学生・子供)の選手が走っている写真

by poxabay

サッカーをプレーする上で足の速さは良いプレイヤーとなる資質の1つです。

ただ、小さい内は良いフォームで走れていないために本来の力を発揮しきれていない場合も多いです。

そこで簡単な改善方法をご紹介します。

なお、走り方を詳しく調べていくと腸腰筋(ちょうようきん)を始めとした筋肉の話や専門的な内容が多くなり実践しづらいため、この記事ではできるだけ簡潔にまとめています。

北海道は5月末から6月が運動会シーズンなのでサッカーはもとより、かけっこやリレー、徒競走などにも役立てば幸いです。

走り方改善のコツ①:ウォーミングアップに速く走るための準備を取り入れる

ウォーミングアップは激しい運動をする前に筋肉を温め体を動かすための準備、あるいは急な動きによる怪我の予防が目的ですが、ただ身体をほぐしたりストレッチをしたりするだけではなく、速く走るための準備となる動きをこの段階から取り入れていきます。

例えば以下の様なウォーミングアップです。

足が遅くなる原因の1つである内股を改善するウォーミングアップ

園児~小学生(低学年)の中には内股が原因で足が上手く出せずスピードが上がらない子が意外と多いです。

そこで、内股を改善するストレッチ方法をご紹介します。

両足を肩幅くらいに開き、足首を180度まで開く運動

内股を改善するストレッチ運動

小さい子は倒れやすいので少しづつ足首を180度に近づけるのがポイントです。

顔は正面に向けたまま腕を振る運動

速く走る上で腕の振り方は重要なポイントであり、実は「5つのポイント」の1つでもあります。

詳しくは後述しますが、準備運動の段階でもその場に立ったまま腕だけ振ってそれぞれにフォームを確認させます。

 

つま先立ちの状態からしゃがむ運動

速く走るためには上半身がぐらつかないこともポイントの1つですが、バランス感覚が十分でない子は走っている最中に頭が振れやすいです。

そこでバランス感覚を養うために拇指球(ぼしきゅう)を使っての運動になります。

拇指球(ぼしきゅう)のイラスト

赤い部分が拇指球です

具体的にはまず「つま先立ち」をして、そこから徐々にしゃがむのですが、この時重心は両足の拇指球(ぼしきゅう)にかかるようにします。

速く走るためには地面に対する反発力が必要ですが、足を地面に接地する時は小指側からつけて最後にこの拇指球で地面を押すと足の力が最大限伝わるとされています。

他にも色々ありますが、まずは準備運動の段階から「姿勢(フォーム)」「体の動かし方」を意識させるのが、早く走るためのコツその1です。

速く走るコツその2:スタートでトップスピードに乗れる様にする

これはかけっこにおけるスタンディングスタートを想定した内容ですが、「体を前傾させていった時に自然に出る一歩が丁度良い幅」と言われています。自分にとってベストな一歩目の幅を確認した後は、「前に出した足のひざにへそを乗せるように前傾」をして、「全身を使いヘディングをする様に一歩目を蹴りだしダッシュ」すると一気にスピードに乗れます。

サッカーにおいても一瞬でトップスピードに乗れる力は近年 より重要視される傾向にあります。「アジリティ(俊敏性)」という言葉でよく表現されますね。

かつてベンゲル監督が名古屋グランパスを率いていた時に「5mダッシュ」の練習を重要視したという話もあります。

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速く走るコツその3:走っている時の姿勢

スタート後の走っている時の姿勢は「前傾しすぎないこと」です。オリンピックでの陸上種目(100m走など)を見るとわかりますが、スタート時は前傾だった選手達が皆体を起こします。

前傾しすぎると前に進むための推進力があちらこちらに分散されてしまい、せっかくの力がロスしてしまいます。

加えてサッカーでは走っているときも周りを見て次の展開を読まなければならないので、尚更顔を下げないようにしなくてはなりません。

速く走るコツその4:腕の振り方

準備運動のところでも少し触れましたが『腕振り』は走る上での重要なポイントです。試しに「腕を後ろで組ませ走らせる」トレーニングをしてみると、上半身が大きく揺れて上手く走れないことがわかります。

ひじの角度は90度

ひじが伸びていると、早く腕を振ることはできません。コンパクトに早く腕を動かせる様に、ひじの角度を90度にするのが良いです。

 

腕を横に振らない様にする

小さい子にありがちですが、腕を横に振ってしまうと前に進もうとする力が分散されてしまいます。前後に振れる様に脇を締めて動かしましょう。

 

ストップする時は腕を引く

こちらはサッカーにおいて急にストップしたり向きを変えたりする時に使えるテクニックですが、止まる時は足だけでなく、腕から肩を後ろに引くとブレーキがかかりやすいです。例えばイタリアでは走る時に上半身の使い方を教えるそうですが、日本ではまだまだ意識して指導されることは少ないです(私が見た範囲での話です)。

速く走るコツその5:足の使い方

ひとくちに「足」と言ってもさまざまな部位があります。順に見ていきましょう。

腿(もも)は上ではなく前に出すように意識する

一昔前の体育教師に「走る時はももを上げろ!」と言われた方もいるのではないかと思いますが、上げるのではなく「膝(ひざ)前に出す」様に意識した方が速く走れます。

地面に足が付いた時に膝を曲げすぎない

膝を曲げてしまうと地面からの反発力が吸収されてしまい、推進力になりません。地面に接地した瞬間は膝を曲げないように心がけてみましょう。

 

腰の骨を前に出すような感じで股関節を前に押し出す

「足」というと付け根からをイメージしがちですが、おへそから足が出ている様なイメージで、腰を回しての骨を前に出すような感じで足ごと前に出す(股関節を動かす)とストライド(歩幅)が広くなり1歩で進む距離が増えます。

 

かけっこ教室を担当した経験から伝える走り方のコツ

札幌の西野地区センターで行ったかけっこ教室の写真

上の写真は私が以前 区の施設より依頼を受けて行った「運動会応援企画!かけっこ集中講座」に取材が来て地域新聞に掲載されたものです。

この時は小学校1年生~3年生までの男女20名ほどを対象に走り方の基礎を指導しました。

この時の経験も踏まえて、走るのが苦手な子供を対象とした「速く走る方法」をご紹介します。

速く走るための5つのコツ:まとめ

では、おさらいです。

  1. 準備運動から「姿勢(フォーム)」「体の動かし方」を意識する:特に拇指球(ぼしきゅう)
  2. 「スタート」でトップスピードに乗れる様にする:一歩目の歩幅・前傾姿勢
  3. 「走っている時の姿勢」:前傾になり過ぎない
  4. 「腕の振り方」:ひじは90度・前後に動かす(横に流れないようにする)
  5. 「足の使い方」:膝(ひざ)、腿(もも)の動かし方

もちろん「サッカー」と「かけっこやリレー」では動かし方にも違いがありますし、走り方の方法も指導者それぞれ持論があるため絶対に正しいとは限りませんが、改善しやすいポイントをまとめてご紹介しました。

走りに自信のない選手に少しでも役立つことを願っています。

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