こんにちは。今回は【サッカー選手が着用するユニフォームの背番号】について、意味や由来、背番号を付ける時のルール、人気の番号や選手のこだわりの数字といったエピソードをご紹介します。
例えば次のような疑問をお持ちの方にお答えしする内容です。
- 「何でサッカーは背番号10がエースナンバーなの?」
- 「サッカーでかっこいい番号は?」
- ユニフォームに背番号が付いている理由
- 背番号のサイズについて
- サッカーにおける背番号の歴史と数字の意味
- 背番号って何番でもいいの?
- 特定の数字にこだわる選手たち
- 背番号○番と言えばこの有名選手:12・14・23番など1~11番以外
- サッカー選手の背番号:意味、人気、選んだ理由:まとめ
ユニフォームに背番号が付いている理由
サッカーのユニフォームには背番号が入っています。
そして各国の代表ユニフォームやJリーグのユニフォームなどの様に、場合によっては背中側だけではなくショーツ(短パン)にも番号を入れたり胸番号(腹番号)を入れたりしなければならない場合があります。
背番号が付いている理由は選手を特定するためです。
実は少年サッカー大会でも試合前に選手証で顔と背番号、生年月日を照らし合わせて本人であることを確認します。これにより事前に通達された選手とは別の人間が試合に出ることを防いでいるのです。
そして試合中も背番号があることで戦術的な指示や確認ができます。例えば「11番をマークしろ」「3番が上がったから裏のスペースを突こう!」など監督や選手同士での指示が出せます。サッカーは団体競技のため、背番号が付いていないと、こうした指示などができなくなってしまいますね。
また主審は得点した選手や交代した選手、警告および退場処分にした選手を審判手帳に控えておかなければならないため、ここでも背番号が使われます。
背番号のサイズについて
JFA(日本サッカー協会)に加盟するチームの場合は以下のサイズ規定があります。
- シャツ背中 高さ 25cm~35cm
- シャツ前面 右側、左側又は中央に、高さ 10cm~15cm
- ショーツに選手番号を表示する場合は 前面の右側又は左側に、高さ 10cm~15cm
この様に他の選手からより見えやすい背番号が大きく表示されるようになっています。
サッカーにおける背番号の歴史と数字の意味
初めて背番号が用いられたのは1928年のイングランドリーグにおけるチェルシーvsアーセナル戦でした。
観客からは誰がどのプレーをしたのかプログラムブックを見なくてもわかりやすいと好評で、その後もいくつかの試合で試用された後、FAカップ、リーグと本格的に導入されました。
当時はスターティングメンバ―(初めから試合に出る選手)は1番から11番、控えは12番から16番と決まっていました。ですから、同じ選手であっても日によって違う番号を着けていました。
私が小さい時に見たセリエAの試合では後にずっと10番を着けていたデルピエロ選手が8番だったり9番だったりと他のメンバーとの兼ね合いで変わっていました。
背番号の数字とイメージ
さて、サッカーにおける番号と言えば「エースナンバーは10番」「ストライカーは9番」といったイメージがあります。他にも「7番はウイング(ドリブラー)」「2番はサイドバック」など、サッカー経験者にとって大体共通するイメージがあります。これは何故でしょうか。
その理由は当時サッカー界で一世風靡(いっせいふうび)したVフォーメーションに由来します。以下の図の様にポジションと背番号が決められたためです。
この様に攻撃的なポジションほど大きめの番号であり、現在は2トップの場合など必ずしも真ん中にいない9番をセンターフォワードと呼ぶのもこの名残です。
そしてこのフォーメーションで当時10番を着けていた「サッカーの王様」ことブラジルのペレ選手が大活躍したため10番=エースナンバーとなりました。
その後、マラドーナ(アルゼンチン)やプラティニ(フランス)、ハジ(ルーマニア)、バッジォ(イタリア)と各国でチームの中心人物が10番を背負い、サッカーでかっこいい番号といえば10というのが共通のイメージとして定着しました。
背番号って何番でもいいの?
現在、ほとんどの国のリーグでは背番号登録制(番号固定制)のため、選手ごとに番号が決まっています。
そして多くの国の規約では0番を除く1番から99番までとなっています。
また、ワールドカップでは登録選手数が1チームにつき23人までとなっており、番号もこれを超えることは認められないため、1番から23番までとなっています。
本田選手のパチューカ移籍で話題のメキシコリーグは3ケタの背番号もOK
一方、メキシコのMXリーグは3ケタ、つまり100番台以降の背番号が認められています。なので「282番」や「340番」の選手が普通にプレーしているのです。また、一桁の番号には前に0を着けます。2017-18シーズンにパチューカへ移籍し、「平和=ピース」ということで背番号2番を選んだ本田選手も「02」番になっていましたね。
この様に南米は他では見られないことが色々とあります。
例えば以下の様な他ではありえないことも起こってしまいます。
背番号に数字以外の「犬の顔」や「はてなマーク」!?

引用元:lacasaca.com
元パラグアイ代表GKチラベルト選手は番号に契約していたメーカーの犬のキャラを使用しました。これを咎め(とがめ)られたことに腹を立てたチラベルトは次の試合で「?:はてな・クエスチョンマーク」を使用しました。他にも0番や猫の顔マークを使った選手がいます。
0番を付けた選手
元モロッコ代表のヒチャム・ゼロウアリ氏はスコットランド・プレミアリーグのアバディーンで0番をつけてプレーしました。2004年に交通事故で他界しています。
特定の数字にこだわる選手たち
全ての選手にとって背番号はただの数字というわけではありません。並々ならぬこだわりを持った選手がいます。
背番号「19番」でもめるボヌッチ選手とケシエ選手
2017年、ユベントスからACミランに電撃移籍をしたボヌッチ選手が背番号問題で揺れています。
ボヌッチはバーリ時代から約8年ずっと「19番」を着けてきました。この番号は占いでボヌッチ本人の氏名を指すものであったり奥様の誕生日であったりと相当のこだわりを持っています。
しかし、ACミランには同じく今夏に移籍してきて先に19番を着けることになっていたコートジボワール代表のケシエ選手がいます。自分の誕生日であり、イタリアに着いた日でもあり、父親の命日でもある19番にこちらも大変なこだわりを持っていました。
どうやら話し合いの結果、年上に譲る形でケシエが「79番」、ボヌッチが「19番」を着けることになりそうです。
「9番」が付けられないから「1+8番」!?
1997-98シーズン、イタリアセリエAのインテルに所属していたチリ代表(当時)のサモラーノ選手はストライカーとしての自負から「9番」にとても強いこだわりがありました。
昨シーズンはサモラーノが「9」、ブラジル代表だったロナウド選手が「10」でしたが、翌シーズンにロベルト・バッジョ選手が加入し、どうしても「ロナウド:9番、バッジョ:10番」にしたい会長の意向でサモラーノは泣く泣く「18番」になりました。しかしそれでもあきらめられないサモラーノはなんと1と8の間に「+」を入れて登場。実際にリーグでもそのユニフォームを使用しました。
その後、他のチームの選手も何人かこの「プラス作戦」を真似したため禁止になってしまい今は見ることができませんが、サモラーノの「1+8番」ユニフォームは日本でもレプリカが販売されました。
余談ですが、漫画『キャプテン翼』で主人公の翼くんがバルセロナに移籍した時の背番号も「2+8(=10)」になっていましたね。
背番号○番と言えばこの有名選手:12・14・23番など1~11番以外
世界各国にはその活躍ぶりから「この番号と言えばこの選手」というイメージが強い数字があります。
背番号12で有名選手といえば:マルコ・ファンバステン
選手としても監督としてもオランダ代表で戦ったマルコ・ファンバステン氏は3度のバロンドールを受賞した名選手です。特に88年ユーロでオランダ代表が優勝した時の立役者であり、この時に着用していた背番号が「12番」だったためファンバステン=12番のイメージが出来上がりました(普段は9番が多かった)。
これに影響を受けた元フランス代表のスーパーストライカーのティエリ・アンリ選手もずっと12番を着用しました。
12番はサポーターの番号でもあります
また、サッカーでは選手とは別に、12番はサポーターの番号という意味もあります。これはピッチで戦うイレブン(11人)に続いて、応援という形で戦うことからきています。
背番号13で有名選手といえば:ゲルト・ミュラー
元ドイツ代表のゲルト・ミュラー選手は、バイエルンミュンヘンのトップチームに昇格した時に空いていた番号の1つだった「13番」を着け、以来「爆撃機」の異名と共に並外れたゴール数を築き上げました。
- ブンデスリーガ:427試合365ゴール
- ドイツカップ:64試合79ゴール
- FIFAワールドカップ 通算14得点(32年間最多得点記録。現在は3位:2006年にブラジルのロナウド選手が15得点、2014年にドイツのクローゼ選手が16得点で更新)
- 欧州クラブカップ:74試合66ゴール
- 西ドイツ代表:62試合68ゴール
ちなみに空いていたもう1つの番号は2番でベッケンバウアー選手が着けました。
背番号14で有名選手といえば:ヨハン・クライフ
元オランダ代表、アヤックス、バルセロナで活躍し、「トータルフットボール」の体現者として3度のバロンドール(欧州最優秀選手)に輝き、監督としてもアヤックスやバルセロナ(とカタルーニャ選抜)を率いた「スーパースター」「空飛ぶオランダ人」と称された故ヨハン・クライフ氏は選手時代には主に背番号「14番」で活躍しました。
最初は9番を着けることが多かったのですが同僚がユニフォームを忘れた時に9番を貸し、自分は控え番号の14番で試合に出たところ活躍したため、比較されていたペレ選手(10番)やディステファーノ選手(9番)と並び、14番を「クライフの番号」と世間にイメージさせようとしたそうです。結果は大成功ですね。
ちなみに、チームでの影響力がとても強かったクライフは当時のルールでアルファベット順に背番号が決められていたにもかかわらず一人だけ希望の14番を着けることを許されました(本来なら1番になるはずだった)。
背番号15で有名選手といえば:セルヒオ・ラモス(スペイン代表の時)
所属クラブのレアルマドリードでは4番のセルヒオ・ラモス選手ですが、スペイン代表では15番を着用しています。これは親友だったプエルタ選手が代表デビューした時の背番号で、彼が亡くなった後も皆が彼のことを忘れないようにという思いが込められています。その他の選手ですと元フランス代表のリリアン・テュラム氏なども有名選手でした。今の日本代表だと大迫選手が有名ですね。
背番号16で有名選手といえば:ロイ・キーン(マンチェスター・ユナイテッド)
ロイキーン氏はアイルランド代表の時はほぼ6番でしたが、マンUやその後に移籍したセルティックでは16番を着用しました。
背番号17で有名選手といえば:ダヴィド・トレゼゲ
トレゼゲ氏はフランス代表では20番でしたがユベントスでは17番をつけていました。彼のの影響か、ユベントスではその後も長身のFWが17番を背負うことが多いです。2018年現在はマンジュキッチ選手が着用しています。
サガン鳥栖では17番はサポーターの番号
サガン鳥栖では前身の鳥栖フューチャーズが消滅した後もクラブの再興に尽力を尽くし、2000年1月7日に亡くなられた坂田道孝氏 佐賀大学教授・佐賀県サッカー協会理事長の意思を継ぐという思いから命日にちなんで17番をサポーターの番号としています。
背番号21で有名選手といえば:パウロ・ディバラ
引き続きユベントスの話になりますが、ユベントスでは21番はジダンやピルロといった名選手がつけていた番号です。それを一時期引き継いだのが、現在は10番を背負うディバラ選手です。アルゼンチン代表では21番をつけています。
背番号23で有名選手といえば:ベッカム(レアルマドリードに在籍していた時)
ベッカム氏といえば7番の印象が強いですが、レアルマドリードではクラブの象徴的選手のラウール氏が7番をつけていたため、バスケットの神様と言われたマイケルジョーダン氏にあやかり23番をつけました。
日本だと有名なのはドルトムントでの香川真司選手でしょうか。
背番号28で有名選手といえば:大空翼
漫画の話になりますが、キャプテン翼の主人公 大空翼はバルセロナで希望の10番が空いていなかったので、2+8=10と背番号10ばんへのこだわりから28番を選びました。
背番号99で有名選手といえば
元ブラジル代表のロナウド氏や元イタリア代表のカッサーノ氏は99番でプレーしたことがある有名選手です。
背番号を生年月日で選んだ選手
好きな番号が空いていない時は自分の生年月日で選ぶ選手もいます。
- 背番号69:元フランス代表のリザラス氏は1969年生まれで、かつ身長169cm・体重69kgということでバイエルンミュンヘンに復帰する時に69番を選択しました。
- 背番号76:元ウクライナ代表のシェフチェンコ氏はミランに復帰した時に76番を選択しました。
- 背番号80:元ブラジル代表のロナウジーニョ氏はミランに移籍する時に10番が空いていなかったので80番を選びました。
サッカー選手の背番号:意味、人気、選んだ理由:まとめ
自分も少年期に初めて背番号が渡された時はとても嬉しかったことを覚えています。控えの控えで20番だったので試合に出ることはほとんどありませんでしたが、数字そのものよりも背番号を渡されたことにモチベーションが上がりました。
選手によって数字への思い入れは様々ですし、「何番でもいいよ」という人もいますが、1から11番までの選手にはやはりそのチームの顔として誇りを持っていてほしいですね。
気になった番号の選手がいたら理由などをチェックしてみるのも面白いですよ。
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