今回は怪我(けが)の予防に関する話としてHSP(ヒートショックプロテイン)をご紹介します。
練習や試合後に冷やす、ストレッチをするなど、アフターケアについてはある程度指示する指導者もいるかと思いますが、怪我の予防に関してはどうでしょうか。
もちろん準備運動やジョギングなどウォーミングアップをしないチームはあまりないかとは思います。
あるいは地域のサッカースクールやクラブであれば練習前に練習会場の確認を行い、怪我に繋がるような石や何かの破片などを除去して怪我防止に努めることもあるでしょう。
しかし、選手の体を怪我に強くするということを話す指導者・コーチは少ないのではないでしょうか。
今回は特別な道具や薬などを使用せずに体を怪我に強くする方法としてHSP(ヒートショックプロテイン)をご紹介します。
怪我をしやすいスポーツであるサッカーだからこそ予防が大切
「サッカーに怪我はつきもの」とはよく言われます。
確かにフィジカルコンタクト(体がぶつかり合うこと)が多いサッカーは当然、怪我に繋がる場面が練習や試合において何度も起こり得ます。
また、特に若い選手やサッカー経験が浅い選手は体の使い方がイメージと合わずに意図しない部分に力が入り過ぎて思わぬ怪我をしてしまうこともあります。
だからと言って怪我に対して何も対策をしなければ育成年代の内から怪我をしがちな選手になってしまうかもしれません。
どんなにサッカーが上手でも、技術が高くても、試合前に怪我をしてしまってはそもそも試合に出られず力を発揮できません。あるいは怪我がちな選手は試合に出られたとしても実力を100%発揮することはできません。
そんな怪我の予防にも繋がる話としてHSPのことを知りました。
先日、温泉観光管理士(北海道では初!)・温泉ソムリエマスター・温泉観光実践士などいくつも温泉に関する資格をお持ちで「ふくろうの湯」という温泉を経営されている髙野紀康さんの講演に参加した時にこのHSPについて教えて頂きました。
HSP(ヒートショックプロテイン)とは
HSPとはHeat Shock Protein(ヒートショックプロテイン)の略で、熱ショックタンパク質とも言われます。
人間の体にある細胞で、傷んだ細胞を修復する働きを持つタンパク質のことです。人体が持つ自己修復機能・自然治癒力ですね。
ツムラや再春館製薬など大手企業でもHSP(ヒートショックプロテイン)の研究は進んでいて、ヒートショックプロテインが体内で増えることで免疫力が高まり、怪我の治り以外にもコラーゲンの減少を抑えるなど、お肌のシミやしわを防いでくれる効果もあることがわかってきています。
ヒートショックプロテインを怪我予防に繋げる方法
このHSP(ヒートショックプロテイン)は深部体温を上げることで体内で増加することがわかっています。
深部体温とは体の内部・中心部の温度のことです。
人体には深部温度と皮膚温度があり、同じ人の体温でも体の部分で温度が異なるのです。
更に深部温度を温めて1度 HSP(ヒートショックプロテイン)を増やすと数日間は増えたままの状態を保つことがわかっています。
ですので、例えば大事な試合の2日前にお風呂でじっくり体を温めてHSP(ヒートショックプロテイン)を増やすことで体調を整えたり、怪我の予防に繋がるのです。
時間がなくついシャワーで入浴を済ます人も多い現代社会ですが、シャワーでは皮膚温度までしか上がらずこの効果はあまり望めません。
HSP(ヒートショックプロテイン)を増やす効果的な入浴方法
ではどれくらいの温度で、どのくらいの時間、お湯に浸かればHSP(ヒートショックプロテイン)を増やせるのでしょうか。
これは約40~42℃のお湯に、約15~20分ほど浸かり、体温を38℃まで上げるのが効果的とされています。
つまり、やや高めの温度に長めの入浴が効果的です。
中には熱いお湯が好きという方もいるかと思いますが、あまり熱いお湯ですと交感神経が刺激され体が緊張状態になり逆効果になることもあります。
ただのお湯でも充分効果的ですが、入浴剤を使うとリラックス効果など精神的にも良いみたいですね。
入浴前と後に水分補給をする
脱水防止のため、忘れずにお湯に入る前と後に500mlほど水分補給しましょう。
温度差による血圧の急激な変化(ヒートショック)に注意!
特に冬場は部屋が寒くなりがちで、入浴の熱い湯と外気温との温度差が血圧の急な上昇や下降を引き起こし、心筋梗塞や脳出血、脳梗塞などに繋がることがあります。
これをヒートショックと言い、ヒートショックプロテインとは別物です。特に高齢者の方は注意が必要です。
寒い日の試合・練習では血管が太い部分を動かす
せっかく体を温めて試合や練習に臨んでも、気温が凄く低い日があります。また急に気温が下がることもあります。「体が冷えると怪我をしやすい」のは皆さんご存知かと思います。
そこで、充分なウォーミングアップをする時間や場所が取れない時は「血管が太い部分」を動かし一時的に体温を上げることが対策になります。
具体的には「首」「脇の下」「腕の内側」「ももの内側」です。
こういった部分を大きく回したり動かすと体温が上がりやすいです。
HSP(ヒートショックプロテイン)で怪我予防する方法:まとめ
高野さん曰く、入浴は副作用のないサプリメントの様なものということでした。
子供の運動能力の低下が時々話題になりますが、食生活・就寝時間・運動と併せて入浴にも意識を向けてみると良いかと思います。
「やや高めの温度に長めに入浴」
ぜひ怪我に強いサッカー選手が一人でも増え、ファンを楽しませるプレーが1つでも増えることを願います。
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