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その練習って楽しい? クラブとスクールで違うサッカー指導力

   

こんにちは。いつもご覧いただきありがとうございます。

今回は【 チームによって異なる「求められるサッカー指導力」 】についてお話します。

※日本における育成年代を対象としたサッカーチームの話です。


黄色いユニフォームを着ているキッズのサッカーチームの写真

by pixabay user:luvmybry

一口に「サッカーチームの指導」と言っても、試合での勝利を第一目標とする「サッカークラブ」もあれば、教育の一環としてサッカーを活用している「サッカースクール」もあります。

どちらが正解と言う訳ではなく、「チームのコンセプト」「選手(子供)が求めるもの」「保護者(親)が求めるもの」が異なるので、それぞれの特徴を踏まえた上でチーム作りをしていくことが指導者には求められます。

サッカーは上手くなるかもしれないけど「その練習って楽しい?」

先日、友人のサッカーインストラクターと「サッカー指導」に関する話題が出ました。

「指導者同士での研修があり、色々な練習を実際に体験した」

「ある練習をやった時に思ったのが、これができれば上手くはなるだろうけど、自分はついていくので精一杯で楽しくなかった。きっとサッカーが苦手な子も同じようなことを思う時があるのだろう」

 

チームごとに練習方法が異なるのは当然として、「試合に勝つことが最優先のチーム」と、「試合や練習での経験による成長を第一に考えるチーム」では、練習に対する考え方も異なります。

 

例えば「コーンをゴールに見立ててのシュート練習」で考えると、

ゴールの幅が小さい場合キーパーは守りやすいので、より正確にシュートを撃つ必要があり精度を高める練習になります。

ヨーロッパの練習風景でもよくミニゴールがシュートやパス練習などで使われていますね。

コーンをゴールに見立ててのシュート練習の図:ゴール幅が狭い

 

一方、ゴール幅を大きくすると、適当にシュートを撃っても入る可能性は高まるので技術的な練習としては良くないかもしれません。キーパーの練習としても適切とは言えないでしょう。

コーンをゴールに見立ててのシュート練習の図:ゴール幅が広い

しかし、低学年の場合はこのゴールで試合をすると「シュートを撃つ」ことそのものが楽しいので積極的にゴールを狙うようになったり、当然ゴールも入りやすくなるので得点する喜びを味わうことができます。より多くの選手が「成功体験を積める」という観点では効果があります。

 

サッカー指導に必要なのはそのチームのコンセプトを理解した上で、指導者の特色を発揮していくことです。

 

サッカー指導に必要な力について

私が考える「サッカー指導に必要な力」には大きく分けて次のものがあります。

サカボンが考える「サッカー指導力」のバランスシート

by Teaching Others(自作)

・コーチング能力
・コミュニケーション能力
・教育力

・経営力
・営業力

ではそれぞれを順に見ていきましょう。

 

サッカー指導に必要な力:「コーチング能力」について

ここでのコーチング能力とは、その名の通りサッカーを上達させるための、コーチとしての力です。

・ルールなどサッカーに対する知識・効果的な練習方法とバリエーション・選手のモチベーションを上げられるような練習内容
・個人戦術、集団戦術 両方を指導できる知識と力

こういったものが挙げられます。

 

「その練習によってどんな力を選手に付けられるか」

「効率の良い配球や道具の置き場所」

「オーガナイズの工夫」

といった部分を意識しているかどうかで、同じ練習メニューでも指導力の差が表れます。

 

「練習の意図をどこまで伝えるか」、あるいは「あえて選手自身に気づかせるために伝えないか」など、「どういう方向にチームを持っていきたいか」を選手に理解させることが指導では重要です。

 

毎回決まったルーティーンワークのようなドリル練習、指導者の思いつきで急にダッシュや走り込みの追加、負荷や強度を調整せずに現象を引き出せないグローバルメソッド……など、質にこだわっていない練習をしていては他のチームとの差は開くばかりです。

※「オーガナイズ」や「グローバルメソッド」の意味がわからない方はこちら → サッカー用語集

 

サッカー指導に必要な力:「コミュニケーション能力」について

ここでのコミュニケーション能力とは、「自分が指導する選手」「保護者」「スタッフ」「他のチームの監督やコーチ」など、自分が関わる他者すべてに対してコミュニケーションを上手く取れるという意味です。ただ「トーク力がある」という意味に留まりません。

メールや電話、関係者用の資料など、サッカーを行っていく上で周りの方々の協力は不可欠ですので、適切な伝達ができるかが重要です。

また、選手に対しては「1人1人に対応しているか」が重要です。

セレクションがあるクラブなどはレギュラー組と控え組で各選手のモチベーションや仲間意識に差が生まれやすいです。

また、近年増えているサッカースクールではレベルや年齢に差がある中で一緒に練習をするケースが多いため、練習が簡単すぎても難しすぎても練習を楽しめないケースが出てきます。

どの場合も、選手1人1人の様子や状態に気を配り、適切な声掛けや対応を続けることが大切です。

 

選手と会話しているサッカーコーチ

by poxabay

 

サッカー指導に必要な力:「教育力」について

ここでの教育力とは、「選手に対して、人としてどうあるべきか」「ルールやマナー、社会通念」などを教えるための力のことです。

一見すると技術志向・勝利主義のチームにはあまり関係ないように思われますが、本当の強豪ほどこういった所を意識しています。

サッカーはチームメイトや相手、つまり他人がいてこそ成り立つスポーツです。

ですから、「自分さえ良ければいい」「勝つためなら相手を怪我させてもかまわない」などのリスペクトを欠く行為や態度を予めさせない、もししているなら正す。それが指導者には求められます。

 

FCバルセロナにみる教育力の例

3つ例を挙げます。

・小学生の年代でも取材を受けることやサインを求められることがあるため、しっかりとした対応ができるよう「バルサの選手」としてのメンタルが求められます。

 

・2015年のU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ準決勝で、FCバルセロナの選手たちが東京都U-12と対戦した時に審判に文句を言いましたが、これをセルジ監督は批判し、試合後の会見でも謝罪しました。

これを受けてか、翌年の同大会では敗退した大宮アルディージャジュニアの選手たちを「グッドルーザー(負けはしたものの誇りを持って戦った)」として讃える姿が大きく取り上げられました。

 

・バルセロナのカンテラ(下部組織)出身であるイニエスタ選手もインタビューで「選手としてもそうだけど、人間として成長した」と当時の生活を振り返っています。

 

指導者も教育者としての振る舞いを意識する必要がある

選手には「挨拶をしっかりしろ」「荷物をまとめろ」と言う割に自分が出来ていない指導者を時々見かけます。

使った道具はしっかり片付けていますか?

車やロッカールーム、机は整理整頓されていますか?

選手に言う以上は自分の振る舞いにも気をつけたいところですね。

 

 サッカー指導に必要な力:「経営力」について

これは所属するチームや体制によって重要度は異なるでしょうが、趣味でサッカーチームを行う場合を除いて、ある程度の「チームマネジメント能力」が必要です。

まず小学生のチームを運営する場合、毎年学年が上がり6年生の卒業があるので必然的に選手の人数は減ります。チームを維持拡大していくためにはその分を新入団員で埋めていかなければなりません。

一昔前のように「そこしかチームがない」という場合であれば、何もしなくても勝手に入団希望者が集まったでしょうが、様々な選択肢がある現在では「他のサッカーチーム」や「他の習い事」よりも魅力を高めて選手を募集しなければなりません。

 

その他にも練習のスケジュールや練習場所の確保、他チームとの練習や試合の交渉など、指導の専門家でない場合は運営に関わる経営の力が求められます。

 

サッカー指導に必要な力:「営業力」について

営業力と言っても、チームであるかもしれない物販などの話に限ったことではありません。

経営力とも関連してきますが、自分のチームの良さを対外に示すことは「チームの継続的な運営」「他のチームからの評判」また「選手を預けている保護者」に対してとても大切です。

評判の良いチームには当然良い選手が集まりますし、練習試合のオファーなど強化につながることもあります。

 

サッカーのコーチの写真

by poxabay

 

サッカーの指導力:まとめ

2018年にはロシアワールドカップもありますが、依然として日本と世界の強豪との差は縮まりません。その原因の1つに選手の育成があることは間違いないのですが、「サッカー選手」を目指してサッカーをする子ばかりではありません。

むしろ、他人との関わり合いや集団生活などを身に着けてほしいと願って子供にサッカーを始めさせる親も多いです。

もちろん、よりスキルを高めるためにサッカー協会も色々と試行錯誤を続けています。地区トレセンの担当指導者をB級ライセンス以上の保持者だけにする動きの地区もあります。

 

冒頭に述べましたが、重要なのは「チーム指導者」「選手」「保護者」それぞれがサッカーに何を求めているかを共有し、その中で指導者はチームのリーダーとして、コーチとして適切な指導と対応で選手を導いていくことが求められます。

 

記事の著者紹介
札幌在住、元・育成年代対象のコーチを12年間していました
より詳しくは☞プロフィール
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 - 指導者