こんにちは。いつもお読み頂きありがとうございます。
今回はサッカーの試合中で当たり前のように見られる『監督・コーチからのコーチング』。
【このコーチングの意味が選手(主に小学生の子供たち)にちゃんと伝わっているか】
についてお話します。
試合中に監督やコーチから飛ぶ指示はサッカー経験者にとっては聞き慣れた言葉ですが、まだ幼い選手にまで本当に意図や意味が伝わっているのかな? と思うことがしばしばあるので記事にしてみました。
この記事を読んでくれているあなたの、あるいはあなたのお子さんのチームはどうですか?
サッカーの試合中によく聞く「丁寧(ていねい)に!」「シンプルに!」の意味
小学生のサッカーでチームの監督・コーチが試合の最中ひんぱんに「そこはシンプルに!」や、「もっと丁寧(ていねい)に!」と選手にコーチング(掛け声)をしている場面があります。
「丁寧に」が「ミスキックするな」という意味なのかな、というのは選手はもちろんのこと、サッカー経験者ではない方でも何となく想像がつくのではないでしょうか。
もっと細かく言えば
「パスをするタイミング」
「パスを出す方向:受け手の右足側か左足側か」
「パスの強度:ボールのスピード」
などの意味を含んでいる場合も多いです。
ドリブルしている選手に対してこの掛け声をする場合は
「ボールコントロールに気を配れ」
「相手にボールを奪われるな」
という意味で使う指導者は多いと思います。
では「シンプルに」というのはどんなプレーを指すのでしょうか。
多くの場合、「味方がフリーな状態なので、そこに預ければ(パスを出せば)特に困ることなく攻められたのに、キープしてしまったためにピンチを招いてしまった。相手に奪われてしまった」といったシーンで使われます。
「手数をかけず単純なパスで繋いでいけ」という意味ですね。
「丁寧」「シンプル」…使い慣れた言葉も選手の理解度次第で変化させる必要がある
しかし、サッカーのルールや戦術、専門用語についての理解度は選手によってバラバラです。特に今回主な対象としてイメージしている小学生であればなおさらです。
極端に言えば、「シンプルに」と言われた子にとって「ドリブルをしかける」のがシンプルだと思っている可能性もあります。
「シンプル=簡単・単純」という意味だから「自分が一番得意なプレー」と解釈しているかも知れません。
「丁寧」や「シンプル」と言ったワードに限らず、指導者が意図することがきちんと選手全員に100%理解・浸透しているか、逐一確認し、伝わりきっていないのであれば言葉や伝え方を変えていく必要があります。
『戦術記憶(memoria tactica)』と『戦術適応(adaptación tactica)』
スペインではサッカー選手に対して戦術の指導をする時に『戦術記憶(memoria tactica)』と『戦術適応(adaptación tactica)』という2つの段階を踏んで行います。
詳しくはこちらを読んで見てください。
簡単に説明すると
『戦術記憶』とは「その戦術を頭では理解しているけど、実践ではまだ完璧とは言えない状態」のことで、
『戦術適応』とは「その戦術を無意識的に行える状態」のことです。
技術的なミスはサッカーにはつきものです。一流のプロでもミスをします。
しかしチームの戦術(決まりごと・約束事)が上手くできない選手に対しては、適切な表現で教えて浸透させることが一般的な育成年代のチームにおける監督・コーチには求められます。
まとめ
「リトリート」「カウンター」「逆サイ(逆サイド)」「ディレイ(遅らせる)」などなど、低年齢の試合でも使われるサッカーの専門用語は色々あります。
もちろんチームによって使う言葉はまちまちですが、強いチームほどシンプルな言葉を使ってわかりやすく指導をしていることが多い印象です。
長年指導者をしてきて、選手に怒鳴り散らしてミスを叱責する指導者を見る機会も度々ありましたが、ただ怒るのではなく「何故できないのか」「ミスをする理由は何か」を追求し指導方法を改善していくのが指導者の役割だと私は思います。
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