今回は体育館での危険な事故について原因となる水拭き・ワックスがけなども含めてご紹介します。
フットサルなど屋内競技を行う際はぜひ気に留めておきたい内容です。
体育館での事故が約10年間で7件、中には大怪我も
2017年5月29日より、朝日新聞や読売新聞で以下の様なニュースが報じられました。
消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)は、体育館での運動中に床に滑り込んだ際、はがれた床板が体に刺さって怪我をする事故が2006~15年の約10年間で7件起きていたとする報告書を公表した。
事故はバレーボールとフットサルのプレー中に起きており、最もひどい事例ではレシーブの練習で滑り込み、はがれた床板の一部が腹に刺さって内臓を損傷し、27日間入院していた。
また、フットサルの事故についても調べたところ、この様な事故を見つけました。
2015年4月28日夜、射水市にある富山県立大学の講堂で、フットサルをしていた男子生徒が床に滑り込んだ際、 床の木がはがれて背中に突き刺さり大怪我をする事故が起きていたことが分かった。 講堂は建てられてから50年以上が経過し、大学は講堂を使用禁止にした。
富山県立大学によると事故が起きたのは射水市のキャンパスの中にある「大谷講堂」で、28日の夜8時半ごろ、 サークル活動でフットサルの練習でゴールキーパーをしていた21歳の男子学生が床に滑り込んだところ、床材の木が30センチほどはがれて背中から突き刺さった。
学生は病院に運ばれ、命に別状はなかったが、傷は内蔵に達していて、2週間から3週間ほどの入院が必要だという。
体育館管理の現状と文科省の対応
しかし、先ほどの消費者事故調によると「学校では半数近い46%、公共体育館の42%がワックス掛けをしていた」そうです。
また、「床板などの定期点検を行っていない学校も20%、公共体育館は49%あった」とのことです。
これらの調査報告を受け、文部科学省では施設管理者に対し以下の通知を行っています(一部抜粋して引用)。
1 適切な清掃の実施(水拭き及びワックス掛けの禁止)
日常清掃及び特別清掃(※1)により,体育館の木製床を清潔に保つ。その際,水分の影響を最小限にする。
水拭き及びワックス掛けはフローリング等の不具合発生の観点からは,行うべきではないことなど,報告書を参考にして適切な清掃の方法を定め,書面にすることにより,実際に清掃を行う者に分かりやすく周知し,実施を徹底する。
なお,やむを得ず体育館にワックスを使用する場合には,それに伴うフローリングへの水分の影響を最小限とするよう注意する。
※1 日常清掃では取りきれない汚れを除去するために数か月に一度行う清掃
体育館の水拭きやワックスがけは本来禁止。その理由とは
水拭きはともかく「ワックスがけも禁止?」と私自身も思いましたが、公益財団法人日本体育施設協会のガイドライン(協会発行の「スポーツフロアのメンテナンス」)に「ワックス掛けの禁止」と明記されています。
また、「日本床工事株式会社」のHPには次のように書かれています。
- ワックス掛けは一切しないでください。
- ワックスを掛けると、その成分により、フローリングに塗られているポリウレタン樹脂のノンスリップ性が損なわれ、滑りやすい床になってしまいます。
床をワックス掛けしてしまうと、次のような弊害が起こり、事故にもつながってしまうということです。
- 塗布後、約1か月で滑りやすくなる:転倒事故などの元
- 床が傷んだ際、補修液などをワックスが弾いてしまい効果が薄くなる
- ヒールマーク(靴によってついた汚れ)がワックスの重ね掛けで広がってしまう
また、古いワックスを落とす時に使う水を木が吸水することで、膨張と乾燥による収縮が繰り返されて反り返り、大怪我の原因になるとのことでした。
水拭きも禁止な理由がよくわかりますね。
自分が学生時代だった頃は、夏休みや冬休みなど長期休み前の水拭きや、休み中のワックスがけが当然のごとく行われていた記憶があり、実際は禁止だったことに驚きました。
まとめ
学校の体育以外にも、フットサルを含め様々なスポーツが体育館で行われます。特に北海道の様に冬は雪で覆われるような地域はなおさら室内での活動が活発になります。
施設の管理者や選手の引率者の方にはぜひ細かい所まで配慮してほしい問題ですね。
補足:体育館などでシューズが滑るのが気になる場合
ワックスがかけられた体育館や室内競技場はシューズが滑ってプレーの妨げになることがありますよね。
そうした場合の対策として滑り止めスプレーやシートを使う方法があります。
チームや個人で持っておくと慣れない会場やワックスしたての試合で役立つでしょう。
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