今回はサッカーでより良いプレーを行うために必要な俯瞰(ふかん)で見るための中心視野と周辺視野、イメージ力についてご紹介します。
俯瞰(ふかん)とは
念のため確認ですが、俯瞰(ふかん)とは高い場所から見下ろして眺めることです。
サッカーではピッチの全体を広く見渡し、相手や味方の選手の動きなど試合の状況が読めている選手に対して「あの選手は俯瞰で見ている」と言いますね。
パスが上手い選手は俯瞰でものを見ていると言われる
シャビ・イニエスタ・ピルロ・モドリッチ…など、パッサーと呼ばれる一流の選手は試合中に、まるで観客席から見ている様に正確なパスをいとも簡単に出します。
「どうしてそこにパスが出せるんだ!?」と視野の広さに驚かされますよね。
こういう選手はよく俯瞰でものを見ていると言われたりしますが、ではどうすればピッチの全体を見渡し、的確なパスを出す選手になれるのでしょうか?
パスが上手な選手の特徴の1つに『目の使い方』があります。
サッカー選手に必要な視野について1つずつ見ていきましょう。
中心視野と周辺視野について
図を作りましたのでまずは下記をご覧ください。
ではこの中心視野と周辺視野と俯瞰で見ることの関係を説明します。
中心視野とは
物を見る時に両目のピントを合わせ対象物を視界の中心に捉えることを言います。
人は動いているものに目が行きやすく、それを中心視野で捉えようとします。
周辺視野とは
視界には入っているものの直視していないためぼんやり映っている部分のことを言います。
周辺視野に動いているものがあると不快感や違和感を覚えやすいです。
サッカーで俯瞰で見るためには中心視野にばかり頼りすぎないこと
サッカーの試合では一番動くボールに目が行きやすくなります。
しかしボールばかり中心視野で見ている状態、いわゆるボールウォッチャーだと、状況判断するための情報が乏しくなり、いざ自分にボールが来ても適切なパスコースを見つけられないのです。
サッカーで視野を広く保つためには、中心視野だけでなく周辺視野も意識して1点に集中しすぎないことが大切です。
直接視野と間接視野について
続いて、目の使い方として直接視野と間接視野をご紹介します。
直接視野とは
直接視野とは、焦点を合わせて対象を見ること、つまり中心視野でものを捉えることです。
中心視野はハッキリ見える分、見える範囲が狭いです。
間接視野とは
間接視野とは、特定のものに焦点を絞らず視界全体を捉える見方のことです。
1つ1つの対象はぼんやりしてますが、何がどこにあるのか、サッカーで言えばどこに味方・相手がいるのかをイメージとしてとらえることができます。
「見る」というより「見える」と言った感じでしょうか。
この間接視野でピッチ全体の状況を掴むことが俯瞰で見るために必要です。
間接視野で見るためには普段の練習から意識すること
日本の昔ながらの指導者は「ボールをちゃんと見てトラップしろ!」と言います。
しかし、トップレベルのプロ選手は逆のことをします。
まずボールが自分の近くにない時は首を振って常に周りをよく見ることで全体の情報を集めています。
しかし、自分の足元に来たボールはほとんど見ずにコントロールして蹴ります。
その結果、ルックアップ(またはヘッドアップ:顔が上がっていて周りが見れる状態)ができているので、相手選手がいても慌てないで正確・的確なプレーができます。
普段の練習からボールを中心視野に置かずにプレーする習慣づけをすれば、やがて無意識に少しずつできる様になります。
「ボールを見ないでちゃんと蹴れるの?」と初心者の方は思われるかもしれませんが、プロには到底及ばない私レベルでも最低限はできるので慣れればできます。
俯瞰で見る感覚を養うトレーニング
俯瞰で見える状態ついて色々と調べた所、実際に俯瞰(上から全体像を捉える)で見えるというよりはイメージ的な部分が大きい様です。
試合中にできるだけ情報を集め、それを考えるよりも早くイメージとして捉えることで「まるで上から見ているかのようなプレーができる」という訳です。
その感覚を養うには下記の様な練習方法があります。
常に首を振り周りを見る量を増やす
ボールが無いサイドの方も見ておくなど自分の周囲を常に把握する習慣づけをする。
また、自分にパスが来た時もボールだけを見ずに、直前まで周りを見る練習をするのも効果的です。
試合ノート・練習ノートを「絵」でつける
プレーを振り返るためにサッカーノートを取り入れているチームも多いかと思いますが、ざっくりとしたもので良いので試合や練習での出来事を絵で描くことで想像力が鍛えられ、自然とイメージで捉えやすくなるようです。
視野を広げる・俯瞰で見るために知っておきたいその他のこと
これまで俯瞰で見るために必要な「視野」や「イメージ」についてご紹介してきましたが、他にも鍛えると良い部分や知っておくと良いことがあります。
周辺視野以外にも「目」そのものを鍛えるのが大切
俯瞰力を高めるには、周辺視野以外にも「動体視力:近づいてくるものを見る力や通り過ぎるものを見る力」や「深視力:距離感を測る力」などを鍛えることが必要です。
これら2つは普段のパス練習の時のボールのスピードを上げることや、ゴールキーパーであればキャッチボールを行うことで鍛えられます。
ボールを真上に投げたり蹴ったりしてトラップ(GKはキャッチ)する練習なども良いですね。
指導者は子供は大人より視野が狭いことを考慮する
個人差はありますが、6才児の視野は平均して
- 水平視野が90度(大人:150度)
- 垂直視野が70度(大人:120度)
しかないそうです。
指導する立場の方はこういったことも予め踏まえた上で練習を考えたりコーチングしてあげたりすると良いですね。
まとめ
急に視野を広げるのは難しいかもしれませんが、まずは普段の練習から次の2つを意識してみましょう。
- ボールだけに意識を向けない
- 広くたくさん見る
そして、これらに注意しながら自分のスキル・ボールコントロールなどの精度を高めていきましょう。
↑こちらのフットボールネーションという漫画でも俯瞰(ふかん)、視野について解説されています。
コメント
私は小学生の頃からこの記事でいう俯瞰ぽいことをしているようですが、遠くを見るのとはちょっと違います。感覚が研ぎ澄まされていくと自分の足元を見ていても遠くを見ているかのように肌で動きを感じて、観客や監督の声も聞こえるようになります。流れを感じる、とでもいうのでしょうか。
もしかしたら俯瞰とはちょっと違うのかもしれません。
コメントありがとうございます
いわゆる「ゾーンに入った」状態ですね
素晴らしい才能だと思います