こんにちは。いつもありがとうございます。
今回は【子供のサッカーユニフォームの裾(すそ)は入れるべきか? それとも出すべきか?】というテーマです。
私が審判をしに行く地区協会主催の試合やグラスルーツの大会でも、指導者の方々は基本的には選手(小学生以下の子供たち)にユニフォームの裾をパンツに入れるよう指示・指導しています。
しかし「大人は裾を出しているのに何故?」「熱中症対策を考えると裾インしない方が良い」という意見もあるので改めて取り上げることにしました。
裾はズボンから出した方が4度涼しくなると科学的に実証される
「シャツの裾はズボンから出した方が最大で4℃程度涼しくなる」という実験結果が、2018年の8月に群馬県高崎市で行われた理科教育の研究会にて発表されました。
これは前橋市内の中学校で理科を担当する富田尚道教諭が、2018年の6月から7月にかけて「シャツの裾をズボンから出した場合とズボンに入れた場合での、運動後に胴体付近の温度はどう変化するか」を調べて実証したものです。
その結果、「裾をインするよりアウト(=裾出し)にした方が風通しが良くなり熱を逃しやすい」というのが科学的にも証明されました。ニュースにもなったのでご存知の方もいるかと思います。
熱中症など暑さ対策を考えると、シャツインは避けた方が良いということですね。
JFAによるユニフォーム(シャツ)の裾に関する規定
JFA(日本サッカー協会)では「シャツの裾をパンツに中に入れてプレーしなければならない」というそれまでの競技規則を、2012年の3月3日以降は撤廃としました。
理由は以下の2点です。
- 競技規則でユニフォームの裾を出しても違反や罰則としてはいないから
- FIFAワールドカップや世界のリーグでユニフォームの裾について言及されていないから
これらの理由に加えて、ユニフォームのデザインもタックイン(=ズボンに裾を入れること)しないことを前提に作られているものが増えたため、規定が変更されたようです。
なぜそれでもユニフォームの裾を入れさせることが多いのか
ではなぜ暑い日の試合であっても子供たちにユニフォームの裾を入れさせることが多いのでしょうか?
これには2つの理由が考えられます。
- マナーや見栄え、安全を考慮した結果
- 配慮不足
第1の理由ですが、これに関連して先ほどご紹介したJFAの競技規則変更の通達では「マナーの向上」として以下の文言があります。
「シャツを出す出さないにかかわらず、ユニフォームは安全で見苦しくないマナーある着用が求められる」
子供たちは成長が早いため、体よりも丈(たけ)が大きめのユニフォームを着用する機会が多いです。
そのため、裾がスカートのようになってしまっているユニフォームを着ている子も稀にですが見かけます。
こうした見栄えの悪さやマナーを考慮した結果、裾を入れさせた方が良いという判断になったと考えられます。
また、そのように大きいユニフォームだと自分の足に引っかかったり、相手が裾を引っ張って転んだりといった危険も考えられるので、同じく裾をインさせるという独自ルールになっている所も多いのでしょう。
もう1つの理由は「配慮不足」です。
未だに炎天下でも十分な休憩や給水時間を与えず、根性論を振りかざす大人が若干ですがいます。
そんな人にはユニフォームの裾をズボンから出して熱を逃がすという発想は浮かばず、「決まりだから」「ルールだから」「つべこべ言わずにやれ」で終わってしまうでしょう。
選手一人ひとりの状態に配慮できる指導者が増えることを願うばかりです。

ビブスの裾が長ければ結ぶというアイデアもあります
選手がサッカーを安全にプレーしやすい服装を心がけることが大切
最近では子供の試合であっても状況に応じたユニフォームの裾出しを推奨するところも出てきました。
また、ある地区では「裾を短パンに入れさせるか出させるか」という質問に対して、「そもそも裾を出したらプレーの邪魔・危険ということは『シャツを出す出さないにかかわらず、ユニフォームは安全なものを着用する』という規則が守られていないのではないか」という回答をした所もあります。
子供の身長に合ったユニフォームを着用させるべきという、もっともな意見ですね。
大切なのは「選手がサッカーをしやすい服装か」、「安全にプレーできるか」ということだと思います。
まとめ
今回は、子供のサッカーユニフォームの裾(すそ)は入れさせるべきか? 出させるべきか? というテーマで色々とご紹介しました。
繰り返しになりますがルールやマナー、礼儀は大事です。ですからそれをユニフォームの着方から学ばせるのは良いことだと私は思います。
ただし、それも選手の健康や安全があってこその話です。
何が「プレイヤーズファースト」になるか今一度考えたいところですね。
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