2014年から6年ぶりにフットサルの競技規則が改正されたので、その内容をご紹介します。
YouTubeのJFATVチャンネルに詳細を紹介している動画もありますが、「動画をじっくり見ている時間的な余裕が無い」、「文字で読みたい」「手っ取り早く確認したいルールがある」という方にはこちらの記事がオススメです。
※変更点が多いので、次の目次も上手く活用して知りたい所をお選びください。
サッカー競技規則の改正が反映された変更点
まずはサッカーと共通して改正されたルールからご紹介します。
次の項目で変更・改正がありました。
- キックオフ
- フリーキック
- クリアランス
- ドロップボール
- テクニカルエリア(チーム役員に対して)
- ハンド
- (※ ファウルと不正行為)
では、順番に解説していきます。
なお、ファウルと不正行為については、わかりやすいようそれぞれの項目と合わせて解説します。
キックオフの変更点
今回の改正でキックオフは次のように変わりました。
- コイントスに勝った方が第1ピリオドに攻めるゴールかキックオフかを選べる
- キックオフを行う競技者を除いて全ての競技者はピッチの自分たちのハーフ内にいなければならない
- ボールは蹴られて明らかに動いた時にインプレーとなる
- キックオフで必ずしも前方に転がさなくても良くなった
コイントスに勝った方が第1ピリオドに攻めるゴールかキックオフかを選べる
改正前はコイントスに勝った方はエンド(自陣)を決めて第1ピリオドに攻めるゴールを選んでいましたが、今回の改正でキックオフも選べるようになりました。
キックオフを行う競技者を除いて全ての競技者はピッチの自分たちのハーフ内にいなければならない
これはどういうことかと言うと、「キックオフでキックする選手は相手ハーフ(=陣地)に入っても良い」という意味です。
ボールを蹴る時に少し相手のハーフに入ってしまうことがよくありますが、特にお咎めはないということですね。
ボールは蹴られて明らかに動いた時にインプレーとなる
一昔前のルールだと「ボールが一回転したらインプレー」といったように判断しづらいものでしたが、これでプレーが円滑になりますね。
キックオフで必ずしも前方に転がさなくても良くなった
改正前は必ずボールを前方に転がさなければいけませんでしたが、今回の改正で後方(つまり自陣)・横もOKになりました。
加えて、直接シュートを狙うことも認められることになりました。
ただし、少年フットサルの場合は大会によってレギュレーションが異なることも考えられるので、事前に確認するのが良いでしょうね。
フリーキックの変更点
今回の改正でフリーキックは次のように変わりました。
- ボールは蹴られて明らかに動いた時にインプレーとなる
- 2人以上の守備側チームの競技者が壁を作った時、全ての攻撃側チームの競技者は壁から1m以上離れていなければいけない
加えて、今まではピッチ外でのファウル(例:スライディングが勢い余ってタッチラインの外で相手を倒した等)に対してはドロップボールで再開していましたが、これもファウルのあった地点から最も近い境界線上の地点からのフリーキックで再開されることになりました。
クリアランスの変更点
今回の改正でクリアランスは次のように変わりました。
- ボールは投げられる、またはリリースされて明らかに動いた時にインプレーとなる
- 味方競技者がペナルティーエリア内でボールを受け、そのままプレーを続けてもOKになった
1番目はキックの場合と同じですね。
2番目は、今まではペナルティーエリアの外にボールが出るようやり直しとなっていましたが、それが改正されたということです。
ドロップボールの変更点
ドロップボールについては行う位置によって対応が異なります。
- 「ボールがペナルティーエリアの中にあった」もしくは「ボールが最後に触れられた場所がペナルティーエリア内だった」場合は、ペナルティーエリア内で守備側のGKにドロップされます。
- それ以外の場合であれば、ボールが最後に競技者・外的要因・審判員に触れた位置で、最後にボールに触れたチームの競技者の1人にドロップされます。
テクニカルエリアの変更点
チーム役員が不適切な行動を取った場合、その程度に応じて「注意・警告(イエローカードを提示する)・退場(レッドカードを提示する)」が与えられます。
退場になると、「ピッチおよびテクニカルエリアを含むその直近の周辺」から離れなければいけません。
ハンドの変更点
ハンドについては基準がより明確になりました。
次の場合、ハンドの反則となります。
- (偶然でも)手や腕にボールが触れたあとにボールを保持、またはコントロールをして「相手競技者のゴールにゴールする」もしくは「得点の機会を作り出す」
- 手や腕を使って競技者の体を不自然に大きくした
- 競技者の手や腕が肩よりも高い位置にある
特に3つめについて、フットサルではスライディングなど体を倒して相手を止めるプレーが多用されますが、この時 体を支える腕にボールが当たってもハンドにはならないので注意が必要です。
フットサル独自の変更点
今回の改正では、サッカーと違うフットサル独自の部分でも変更点がいくつかあります。
それが次の部分です。
- 「10mマーク」への名称変更と「40×8cmマーク」の追加
- ウォームアップする交代要員の数は5人までになった
- プロテクターの色や大きさが制限された
- キックインのルールに変更があった
- タイムキーパーによるブザーの音が終了の合図になった
- ゴールの位置(試合中に動かされた場合)
- 怪我をした場合はピッチから必ず出す
- PK方式の変更
- DOGSOについて:判断基準、警告か退場かの基準
- 審判のシグナル方法に変更があった
いかに詳しく解説します。
10mマークと40×8cmマークとは
わかりやすいよう画像にしたので以下をご覧ください。
サッカーと違ってフットサルには「第2PK」というものがあります。
6つ目以降の累積ファウルに対して壁無しのFK(通称:第2PK)が与えられた場合、ゴレイロ(GK)はボールが動くまで5m以上離れなければいけません。
その距離を示すために、「40×8cm」のマーク(線)がペナルティーエリアの中に新たに追加されました。
またこれに伴い、第2PKマークと呼ばれたマークは「10mマーク」と名前が変更されました。
ウォームアップする交代要員の数は5人までになった
ウォームアップエリアでアップできる交代要員は、1チームあたり最大5人までと制限されることになりました。
プロテクターの色や大きさが制限された
ゴレイロ(GK)はプロテクターの着用が認められていますが、色については「シャツの袖の色」「ショーツのメインもしくは裾(すそ)の色」と同じでなけれななりません。
また、過度に大きいものを着用するのも禁止です。
キックインのルールに変更があった
今までのキックインから次の部分で変更がありました。
- キックインする場所
- キックインする時の足の位置
- インプレーになるタイミング
キックインする場所
今まではボールが出た所の「タッチライン上」もしくは「タッチラインから25cm以内」というルールでしたが、改正後は『ボールが出た所のタッチライン上』となり、ラインからボールを離しておくことは認められなくなりました。
キックインする時の足の位置
今まではキックインする時の立ち足が「ライン上かピッチの外側」というルールでしたが、改正後は『ピッチ内に立ち足が入っても良い』ことになりました。
インプレーになるタイミング
インプレーは「ピッチにボールが入った時」から「ボールが蹴られて明らかに動きた時」に変更されました。
これにより、キックインしたボールが直接ピッチ外に出た場合、最初のキックインの地点で相手にキックインが与えられます。
タイムキーパーによるブザーの音が終了の合図になった
フットサルではタイムキーパーが各ピリオドの終了を音で合図し、主審・第2審判が終了の笛を吹いていましたが、改正後はブザーの音で即終了となります。
これによりどういう変化が起こるかと言うと、今までは審判の笛が終了の合図だったので、ブザーが鳴った後にボールがゴールに入った場合は得点が認められましたが、今後は認められなくなるということです。
改正後のルールを知らないと「なんで入ったのに得点に認められないんだ!」と勘違いしてしまうかもしれないので注意が必要ですね。
ゴールの位置(試合中に動かされた場合)
ボールがゴールラインを超える前に、守備側競技者によって、意図的か偶発的に関わらずゴールが動かされたり転倒させられた場合、ボールが本来ゴールポストがある位置の間からゴールに入ったら得点と認められます。
この時、もし意図的に得点を妨げるために守備側競技者がゴールを動かしたのであれば、主審はその競技者に警告(イエローカード)または退場(レッドカード)を命じます。
一方、攻撃側競技者によって意図的か偶発的に関わらずゴールが動かされた時は得点に認められません。
怪我をした場合はピッチから必ず出す
これまではGKなどはピッチ内での治療が可能でしたが、改正後はサッカーと違い、ピッチ内での治療は認められなくなりました。
主審・第2審判が重症だと判断した場合はプレーを止めて怪我をした競技者を確実にピッチの外に出さなければいけません。
もしプレーに復帰できる様になった時は、「プレー再開後」にのみ「自分の交代ゾーン」からピッチに入らなければいけません。
PK方式の変更
PK方式については3つの変更点があります。
- これまで最初に両チームが行うキックの本数は3本ずつでしたが、「5本」に変更されました。
- キックの開始前や進行中に「キックに参加できる競技者と交代要員の合計数」が両チームで異なった場合、『数の多いチームは数を減らすかそのままの数で行うかを選択できる』ようになりました。
- キックの開始前や進行中にGKがプレーできなくなった時は、両チームの数(=キックに参加できる競技者と交代要員の合計数)を揃えるために除外された競技者とこうたいすることができますが、キックには参加できません。
DOGSOの判断基準
DOGSOとは「得点、または決定的な得点の機会の阻止」という意味です。
通常、次の項目によってそのプレーがDOGSOかどうか判断されます。
- 反則のあった位置とゴールの距離
- 全体的なプレーの方向
- 競技者がファウルを受けた時にボールをキープできる、またはコントロールできる可能性
- 守備側競技者(GK、DF)の位置と数
しかし、フットサルのゴールはサッカーに比べて小さいことから、5番目として、ゴールが「守られているか」どうかもDOGSOかどうかの判断するのに考慮することになりました。
サッカーと違い、上の4つを満たしていても守備側のGKがゴール前にいる時は決定的な得点の機会を得ているとは言えないということになり、退場ではなく警告が与えられます。
DOGSOでの反則
DOGSOの状況で反則を犯し、審判・第2審判がペナルティーキックを与えた場合、その反則がボールをプレーしようと試みて起きた場合は、退場ではなく警告が与えられます。
もちろん、著しく不正だったり無謀なもの(例:大怪我をさせるようなファウル)だった場合は退場が与えられることもあります。
決定的ではないけど大きなチャンスの場面でファウルしペナルティーキックが与えられた場合はカードは出ません。
審判のシグナル方法に変更があった
4秒の数え方が次の図のように変更となりました。
今までの、「腕を上げてカウントする方法」から、「腕を横に振って1秒1秒カウントする方法」に変わりました。
また、今まではカウントしなかった「間接フリーキック」や「直接フリーキック」もカウントすることになりました。
まとめ
実際にフットサルの審判をする時、とっさに忘れてしまうこともあるかと思います。
そう言う時にサッと調べられるようにまとめました。
より詳しく知りたい方は、日本サッカー協会のHPや動画をご覧頂くと良いでしょう。
また、選手であるお子様を見守る保護者の方や、Fリーグを観戦するサポーターの方も、新しいルールを知っておいた方が審判のジャッジに間違ったクレームや文句を言わなくて済むので、1度は確認すると良いですね。
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