3/23(木)に行われた2018 FIFA W杯(ワールドカップ)ロシア アジア最終予選・第6戦、日本対UAE(United Arab Emirates:アラブ首長国連邦)は2-0で日本が勝利しました。
キックオフが日本時間の深夜0:30からだったにもかかわらず、視聴率が10%を超えたことからもその注目度の高さがうかがえます。日本もUAEも負ければW杯出場に黄信号が灯る、そんな重要な一戦だったので、ピッチで戦う選手はもちろんのこと、ピッチ以外でも実はこんな戦いがありました。
今回は、勝つために色々と策を弄(ろう)してきたUAEにスポットを当てます。
試合会場を変更したUAE
当初の予定では最終予選ホーム2試合(タイ戦、イラク戦)を戦ったアブダビで試合を行うはずでした。
しかしUAEは日本戦の試合会場をアルアインにあるスタジアムに変更しました。これはUAE代表選手の大半が自国リーグのチーム「アルアイン」に所属しており、中でも同所属のエースであるオマル選手が一番戦いやすいようにするためでした。
日本でもおなじみとなったドレッドヘアーのオマル選手。彼を最大限に活かそうという狙いで、芝の長さも彼の得意とするパスがしやすい長さに揃えられました。
試合のコート幅を狭めたUAE
めったに見る光景ではないので驚きましたが、なんとUAEはコートの幅を約4m縮めてきました。こちらがその画像です。
コートの幅を狭めるのはルール上 問題はないの?
「フィールドを狭めるなんてことをして良いの?」と思われる方もいると思いますが、サッカールール:コート(ピッチ、フィールド)について②:「広さ」 でご紹介した様に、W杯などの国際試合は「105m×68m」が目安として定められており、且つゴールラインの幅は「最小45m・最大90m」という規定があることから、ここさえ守ればルール的には問題ないのです。
ですから今回UAEはコートの幅を約64mにしてきたことになります。
コートの幅を縮めてどんな効果があるの?
これには様々な意見が出ていましたが、恐らく「日本のサイド攻撃を警戒した」が最も大きな要因だと思います。
予選を通じて日本は左サイドの原口選手が活躍していたので、こうしたサイドからの攻撃をやりづらくする狙いがあったのだと推測できます。また、UAEの選手は細かいパスワークにも自信が見受けられたので、「自分たちがボールを繋ぎやすい様にする」という狙いもあったのでしょう。
もう一つ、日本にある程度攻め込まれることが予想できたのでカウンターをしやすい様にしたのではと考えられます。ロングボールでのカウンターを狙うとしたら、日本のサイドバックが上がることで生まれるスペースがあり、ここを狙ってすぐシュートまで行ける様にしたかったのではないかという推測です。
コートの幅が4m違うとそんなに変わるもの?
実際にサッカーをプレーした方ならわかると思いますが、4m違うだけでも選手はかなり狭く感じたと思います。
縦幅が4m縮まればサイドの選手はスプリントする距離が短くなるので多少楽に感じたかもしれませんが、今回は横幅が縮まったので相手との距離が近く、プレッシャーを早く感じたかもしれません。
UAEに限らず、試合ではピッチに水をまくなど色々と行われる
有名なのはバルセロナでしょうが、パスサッカーを主体とするチームはボールが速く転がるように水を撒いたり芝を短く刈りそろえたりします。反対に、こういうチームと対戦する側がホームの時はわざと芝を長めにしてボールが止まりやすい様にします。
「試合前とハーフタイムで水を撒くことを要求する」「それを拒否する」など、ピッチの外でも対戦チーム同士の戦いは行われているのです。選手も芝に合わせてポイントが長い、あるいは短いスパイクに履き替えたり、固定式を取替式やミックス式にしたりと工夫しています。
吹かれなかった「中東の笛」
中東とのアウェー戦の時によく懸念されるのは、「中東の笛」と呼ばれるアラブ諸国に対して有利、対戦国側に対して不利・不可解な判定が行われることです。サッカーは審判のジャッジに結果が大きく左右されがちなため、どの審判に当たるかは重要な問題です。
今回主審を務めたのは、「アジア最高の審判」との呼び声が高いウズベキスタン人の「ラフシャン・イルマトフ氏」でした。この結果、おかしな判定はほとんどなく対戦前のインタビューで「公正なジャッジを強く望む」と言っていたハリル監督の望んだ通りになりました。日本としてはラッキーでしたね。
このように自分達のチームにとって良い審判団に当たるかどうかという戦いもピッチ外では行われています。
ピッチ外の戦い:まとめ
代表戦は国の威信をかけた戦いです。そのためどこのチームも勝つためにできることを色々と行います。
時には試合以外にも目を向けると、こうした面白いことを発見できるかもしれません。
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