ゴールキーパーの練習方法:最適なポジショニングとは【ドイツ式】

 

こんにちは。今回はゴールキーパー練習方法最適なポジショニングを学べる、ドイツで取り入れられている練習方法をご紹介します。

一昔前はオリバー・カーン、近年ではマヌエル・ペーター・ノイアーやマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンなど、ドイツは名GK(ゴールキーパー)を続々と輩出しています。何故ドイツでは優れたGKが多数生まれるのでしょうか?それは選手の体格や才能以外にも日本との色々な差があるからです。

まずは日本ではなかなか習えない場合も多い、「ゴールキーパーのポジショニング」について解説していきます。これを覚えて少し練習中に意識するだけで、小学生でも飛び出すタイミングの目安がわかるのでセービングも安定感が増してミスが減り、上手くなる実感が掴めると思います。

※ドイツ語で書かれていたものなど様々な資料や情報を元に独自で書いているため、一部翻訳できていない部分もあります。予めご了承ください。

ドイツのGKは練習でゴール周辺を3つのゾーンに分けて考える

では、本題のドイツ式ゴールキーパーのポジショニング練習方法についてご紹介します。

下の図はドイツのGK練習で教わるGKの「ゾーン」について私が作成したものです。

Zone1から3以外で16.5m以上距離をとる範囲はZone4として別に考える様です。ここではZone1~3についてお話しします。

ドイツ式GKのポジショニングを図解した画像

(サカボンによる自作の画像:GKの適切なポジショニングについて)

ドイツ式GKのポジショニング:Zone 1「Standzone」

「ゴールライン」と「ゴールの中心からゴールエリアの角を結んだ線」で囲んだ範囲(ゾーン)を「Zone 1」とします。

この範囲から相手が攻めてきた場合、GKは飛び出さずゴールポストの端に「立った姿勢」でいるのが最適なポジションです。

低く構えてしまうと上を狙ったシュートに対応が遅れてしまうからです。

GKが最適なポジションを取ると守るべき範囲(=相手にとってのシュートコース)は「約2m」になります。シュートコースをほぼ消しているので慌てて飛び出す必要はありません。

ドイツ式GKのポジショニング:Zone 2「Kippzone」

「ゴールの中心からゴールエリアの角を結んだ線」と「ゴールの中心からペナルティアークの端を結んだ線」で囲んだ範囲(ゾーン)を「Zone 2」とします。

ドイツ語はわかりませんが「斜めのゾーン」と言えばよいでしょうか(googleで翻訳すると「傾斜ゾーン」と翻訳されますね)。

この範囲から相手が攻めてきた場合、GKはゴールエリアのライン付近まで飛び出し、相手のシュートコースを狭めます。

GKが最適なポジションを取ると守るべき範囲(=相手にとってのシュートコース)は「約3~4m」になります。

ループシュートを警戒しつつ、左右を狙うシュートについてはゴールに入らない様にシュートの方向を変えることを意識します。

ドイツ式GKのポジショニング:Zone 3「abdruckzone」

「ゴールの中心からペナルティアークの端を結んだ線」で囲んだ範囲(ゾーン)を「Zone 3」とします。

残念ながら最適な翻訳はわかりません(googleだと「印象ゾーン」と翻訳されてしまいます)。

この範囲から相手が攻めてきた場合、GKはゴールエリアのライン付近まで飛び出し、相手のシュートコースを狭めます。ただし、特にこのゴール正面のゾーンの場合は味方のDFが複数いる場合が多いので、味方のプレーを邪魔しないよう飛び出すタイミングには注意を払うことが必要です。

GKが最適なポジションを取ると守るべき範囲(=相手にとってのシュートコース)は「約4m」になります。

何故ドイツは日本に比べて名GKが育つのか

DFB(ドイツサッカー連盟)では2011年からGKの指導者ライセンスを導入しGKの育成に力を入れてきました。日本でも実は10年以上前からゴールキーパーコーチのライセンスがあり、今はC級(15才以下の指導対象)からA級まであります。それにも関わらずドイツほどGKの育成が進んでいないのはいくつかの要因があるからだと私は思います。

ドイツではGKは人気のポジション

一流のGKと言われる選手がいる国ではそのポジションは子供達にとって憧れのポジションでもあります。例えばジャンルイジ・ブッフォンのいるイタリアなんかもそうですね。

GKをやりたい子が多いと必然的に良い選手が育ちます。

グラウンドが芝か土かの差

日本の小学校も少しずつグラウンドを芝にする所が増えてきましたが、まだまだ土のグラウンドでサッカーの練習や試合をすることの方が多い現状です。

GKにとって土のグラウンドは、芝に比べて飛んだり倒れこむとケガをしやすい環境なため、思い切ったチャレンジや正確なフォームを身に付けるといった成長の機会が妨げられている面があります。

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日本の練習環境:GKの指導をできる人材が日本にはまだ多くない

日本では、過去にGKだった指導者の多くが、少ないキーパーに関する情報から自分で考えたり工夫したりと「独自の練習方法」で育ってきたため、以下に紹介するドイツ式の様に論理的な指導をする人・できる人がまだ多くないのです。

以前、現役時代はその地域で強豪校のGKだった知人に、GKの練習方法について訊いてみたことがありますが、「結局はフィーリングっス」と言っていました(苦笑)

たまたま彼はそういう性格だったのもあるでしょうが、別のGK経験者もスロー・キャッチの練習方法はいくつか知っていましたが細かな知識は持ち合わせていませんでした。

今後の日本のGKはチャンス

ネットが普及し、自らGKの情報を発信している人も増えていますし、動画も色々あり、情報が集めやすくなったのでGKとして成長できる機会は昔に比べ格段に上がりました。良いGKを目指すなら、ぜひ積極的に色々と調べて練習してみてください。

ドイツ式ゴールキーパーのポジショニング:まとめ

では今回のまとめです。

  • Zone 1:ゴールラインとゴールの中心からゴールエリアの角を結んだ線で囲んだ範囲では、GKは飛び出さずゴールポストの端に立った姿勢で対応する
  • Zone 2:ゴールの中心からゴールエリアの角を結んだ線とゴールの中心からペナルティアークの端を結んだ線で囲んだ範囲では、GKはゴールエリアのライン付近まで飛び出し、相手のシュートコースを狭める
  • Zone 3:ゴールの中心からペナルティアークの端を結んだ線で囲んだ範囲では、GKはゴールエリアのライン付近まで飛び出し、相手のシュートコースを狭める。ただし味方選手の位置に注意する。

飛び出す場面とそうでない場面、またどれくらい相手との距離を詰めるのが良いか、GKに最適なポジショニングのコツが伝わったでしょうか。

ぜひご自身の練習で意識してみてください。

今回はGKの「ポジショニング」についての解説でしたが、他にも相手との距離ごとの構え方やキャッチングの仕方などドイツでは様々な方法を子供の内から習うため、良いGKが育っています。これらについても改めて紹介していきたいと思います。

なお、「フットボールネーション」という漫画の9巻でも、今回ご紹介した内容を分かりやすく解説しているのでご興味があれば見てみると良いかと思います。

関連記事:GKの練習方法:順手・逆手を意識した飛び方とは

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